2014年1月5日

2 The Last Ship / Sting

ブログ表題「ラストシップ」は、大好きなミュージシャンの一人であるスティングの新しいアルバムにあやかった。
スティングはほぼ同い年。国は違っても同じ時代の風を受けて歩んできた共感がある。ビートルズで音楽に興味を持ったところなど、まさに同世代ならではだ。日本公演の際は何度か足を運んでいる。
10年ぶりの新しいアルバムが“The Last Ship”と聞いて、その暗示的なタイトルに同世代的な感慨で、いよいよスティングも人生の最後の航海について考えているのだなと勝手に想像していたのだが、内容は違っていた。今秋ブロードウェイで公開されるミュージカルの為に書き下ろした物であった。自分の故郷の造船業の衰退を描いた、叙事詩とも思える、キリスト教的父と子の物語である。寓話的、夢の物語でもある。
いかにもミュージカルらしい楽曲もあり、楽しい中にも物悲しいサウンドはスティングならではだ。少し地味だが出来は良いし、スティングらしいアルバムだと思うが、発売後の評判は賛否両論とのことだ。“The  Soul  Cages”の時もそうだったが、支持者が少ないアルバムほど、一方で熱狂的な理解者はいるものだ。“The  Soul  Cages”のテーマは「死者の魂をなぐさめて、前に進んで行く」というものであった。父を亡くした後、どうしようもない空虚感に苛まれていた私は、父親が他界した後、やはり、曲を書きたいという気持ちが枯渇した、というスティングの言葉に強く共感したものだった。父への挽歌として作られた“The  Soul  Cages”は、私にとっても魂を揺さぶられる作品であった。これらの作品に心動かされなかった人も、時が過ぎ経験を積んだ後に再び聴いてみるとその良さが判るに違いないと思う。人生と向き合うスティングの中心的テーマは、いつも「自己発見」だから。
The Last Ship”に話を戻すが、ジャケット写真のスティングの渋いこと、かっこいいこと!! 幾つになってもシャイで、知的で繊細、しかも精悍だ。ギターも上手く、男性ファンが多いのもうなずける。
音楽には無関係だが、ディスクのイラストも良い。丸いディスクを地球に見立てて、青い海をグルッと一回りする赤い船。シンプルなアブストラクトな絵でイメージが広がる。
幾つになってもかっこいいスティングではあるが、我がブリティッシュロックの他の旗手たちも実に素敵に齢を重ねている。エリッククラプトン、ロバートプランツ、ジミーペイジ、etc. ミックジャガーなんて何?!まだやんちゃなクソガキだ。文字通り、転がる石に苔むさないということか。
毎年のように行っていたNYも久しく行っていないが、“The Last Ship”の公開予定の今秋には、しばらくぶりに訪れてみたい。  

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