2021年12月13日

303  石橋幸コンサート第23回「僕の呼ぶ声」

 毎年恒例の「僕の呼ぶ声」(於:紀伊國屋ホール)が、来週12月20日に迫ってきた。
毎年とは言うが、昨年はコロナ禍の影響で中止になってしまったので、二年ぶりである。
どうなるだろうと不安のまま、リハーサル、スタッフ打合せ、ホール打合せと徐々に具体的になってきているので、今年は実現するだろう。
石橋幸の凄いところは、スターリンの圧政によって閉じ込められていたロシア人さえも知らない唄を、自分の足で拾い集めたことである。また石橋は、唄はそれが生まれた言葉で歌われるべきだという主義の元に徹底してロシア語で唄うスタイルを通している。それが壁になっていることもあり日本では認める人も少ないが、ロシアでは石橋はその功績を認められ、シャンソンゴーダ特別賞を受賞してクレムリン宮殿で歌った唯一の日本人でもある。だが勿論、日本にも熱心な支持者がいて石橋の唄に感動し、涙を流す。作家の中上健次も石橋の唄と声を認めた一人である。
日本に居ながらも世界各地から様々な音楽が入って来る現代の情報社会であるが、ポピュラーなヒット曲だけが注目されるのが現実でもある。日本では聞くことが少ないジプシーや囚人の歌には言葉を超えた力強さがあり、国や民族が違っても人々の営みには変わりがないことを伝えてくれる。それが日本人の感性にも合うということを石橋の唄を聞いて感じて欲しいものだと思っている。




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