2017年11月25日

159 ビデオデッキ、テープの処分

事務所のビデオデッキが壊れた。流派を越えた一流の能楽師の団体である能楽座の、上演史に残るであろう貴重な公演記録を観て勉強する為に、このデッキを前の担当者が購入したと聞いている。購入した頃は既にビデオの時代では無かったので、テープをDVDにコピーする目的もあったらしい。今となっては私しかやる者は無く、もう先延ばしも出来ないだろうと時間さえあればコピーし続け、やっと終わった。80本程あった。
ついでに個人的な物で残しておいたテープもコピーしようとしたら、1本コピーした途端にデッキが壊れてしまった。ちょっと前からイヤな音がしていたが、古いテープばかりを再生させられたんじゃデッキも具合が悪くなるというものだろう。
何年か前に自分のビデオテープもそれこそ何十本と処分したが、残しておいたのが15本程あった。好きなミュージシャンのライヴ、好きな俳優のインタビュー等、ビデオ屋では借り難い物(と思い込み)を未練がましく捨てられないでいた。既にビデオデッキも処分したというのに…
先日亡くなったジャンヌ・モローのインタビュー(これが素晴らしい!)と、ついこの間カズオ・イシグロがらみで思い出したアンソニ―・ホプキンスのインタビューをコピーしたが、次のテープを入れた途端にギリギリガシャガシャと壊れてしまった。
未練は残すなということだと解釈した。それにこのご時世、ビデオ屋に限らずネットを捜してみれば何でも見られるのだ。しかも、これらのテープを「いつか…」と思いながら、一度たりとも見てはいなかったのだから、尚更である。やはり、残しておかなければいけない物など何一つ無いのだ。