2021年8月27日

293 春樹とひさしを捨てる

九仞の功を一簣に欠く
私の悪い癖だ。最後のひと踏ん張りがきかず、中途半端になっている物がいくつあるだろう。片付けはどうだ?! あんなにせっせとやっていたのにどれも中途半端のままだ。P病に罹ったのは理由にはならない。むしろ病気だからこそ、周辺を身ぎれいにしていなくてはならないのに!
大きな本棚を処分した時の本の片付けは自分でも清々して気持ちが良かった。整理のコツも覚えたし…ところが、残した本(いわば一簣)が仕上がらない。一度大きく整理したので、残っているのは好きな本が多い。それが却って片付けの邪魔になっているのかもしれない。だが、好きな本でも何度も読み返すことはないということも実感した。そこで、好きな作家から片付けることを思い立ち、ぐるっと見たところ、井上ひさしと村上春樹が目立つ。二人共、勿論、図書館に沢山あるし、アマゾンでも明日届く作家だ。井上ひさしと村上春樹はもう家には無いとなれば、捜す手間も無く、時間の節約になる。
本の片付けの時に注意しなければいけないのはつい本を読んでしまうことで、片付けどころではなくなってしまう。井上ひさし自身もそのようなことをどこかに書いていた。だが、今回は掟を破って「化粧」を読んでしまった。その何日か後に内野聖陽の男版「化粧」を観る予定があったから、ちょぴっと予習をしたかったのだ。
実際の舞台は「似て非なるモノ」だった。内野はチャーミングだし、上手かったけれど。あれは井上ひさしの「化粧」では無い。



2021年8月13日

292 ありがとう の不思議-3

ありがとう復唱25,000回、今度こそ達成するか!?
5月30日から始めて2ヶ月半、まだ達成できない。途中でネガティヴな言葉を発してしまったら、それまでの回数は無効になってしまい、1からやり直しをしなければならないので、達成するのはなかなか難しい。気をつけていても外にいると色々な人の言動が目に入るから、つい悪い言葉(不平不満、愚痴、泣き言、悪口など)を発してしまう。
転びそうな人を見たり自分がよろけた時、「アッ、危ない!」(結構言ってしまう)「疲れた~」「辛い」はついつい言ってしまう。この猛暑に「アツイ!」「苦しい」も連発だ。コノヤロー!チキショー、ウルセー、クサイ、嫌い!なんて、とっさに言ってしまうのが多いことに、今回は改めて気づかされた。他人の悪口にもつい乗せられる。社会を見回せば悪口の言い放題のようになってしまうし、人に会っていたら良い言葉だけを発するのは難しい。なので、この「ありがとう修行」は、一人でいる時に集中してやらないと成功は難しい。
20,000回近くなってからのやり直しには、本当にガックリする。2回程あったろうか。大体は10,000回前後で挫折する。つい先日だが、達成した(はず)の日もあった。カウントは25,000回までやった。ところが、成功者がこぞって言う「涙が出て2、3時間は止まらない」「今までと違う境地だ」の、実感が無い。それを経験したい一心なのに、これでは駄目だろう。自分なりに悪い言葉を厳しくチェックしたのに見逃してしまったのだろうか…こうなったらやり直ししかない。やると言ったらやる私だ。(そうでもないかな…)
悪い言葉を排除してきれいな言葉を発するのは、本来の目的とは違っていても意味はあるだろう。自分の口から発するものだ。どうせなら心地良い言葉だけを発したいものだ。だから、25,000回が達成出来なくとも、言葉に関してこの習慣がついたらそれだけで素晴らしいことだ。
でも、やります!
このくらいまでなら大丈夫なんだけど…









2021年8月2日

291 新しい裏窓

都営住宅抽選の何度もの落選に諦めがついたという訳では ないが、急遽引越しした。
引越し願望が強かったのは2年前の春くらいだったが、良い所が見つからず延び延びになっていた。その折に、高齢の独り者にとって家を借りるのはどのくらい難しいか身をもって知らされたこともあり、取り敢えずは、身体を横にしゆっくり眠ることが出来る場所もあることだし、頭の片隅には都営当選(当たりっこ無いのに)がチラチラしていたので、家探しを怠けていた。
そうこうしている内に「一緒に暮らさないか」という誘いがあった。それは50年近いつき合いの仕事仲間の一人だが、彼も肺気腫を患い私はP病という難病に罹ったので、助け合わないかということだったのだ。老老介護ならぬ病病介護。「倒れても何日も分からなかった」というのはちょっと嫌なんだよね。と言う。だが、私には帰郷願望もあるし、仕事も後4、5年はする予定がある。それでも、古い友達なのだから一年ぐらいは共同生活を試してみても良いだろう、と早々の引越しとなった。先は短いのだ!とあっという間の出来事だった。
同じ仲間の一人であるMが、会社で契約してくれたので、私達は何もしないで済んだ。会社のシェアハウスに住むという体である。
千駄ヶ谷に良い所が見つかったので、またもや近距離の引越しだった。結果的にまた住勤接近になった。とても助かる。同じ千駄ヶ谷でも以前のマンションの辺りとは雰囲気が違い、当然、裏窓の様子も違って興味深い。千駄ヶ谷には、以前、文化人が住んでいた一角があったと聞いているが、ここいら辺がそうではないかと思うような所だ。実際、村上春樹が経営していた店もすぐ近くにある。
引越しも手伝ってくれたスタッフのKさんが、「アルゼンチンみたいですね」と言い、私も「そうね」と言ったもののアルゼンチンには行ったことがない。映画で見たくらいだが、そんな感じがしないでもない。決して高級ではない異国情緒の懐かしさ。周りの何軒かの建物の屋上では洗濯物を干していたりする。そんなところが南米的なのかな。