旧知の演出家、芥正彦が三島由紀夫と激論した記録が入っているドキュメンタリー映画が完成し、試写会に芥と行く。これは50年前の東大全共闘と三島の対決を記録した物で、何年か前に秘蔵映像が見つかって、一部公開されたり、本に再録されたりもしている物だ。5年前にも三島没後45年ということで、その激論が行われた駒場の900番教室で特別講演が行われて、出かけて行った。パネリストの中にはまだお元気だったドナルド・キーンさんもいらして、そのお姿とお話の内容には感激したものだった。
今回の映画は、50年前そこに居た生き証人である芥達東大生、盾の会会員、数人の記者、そこへ4人の識者(平野啓一郎、内田樹、小熊英二、瀬戸内寂聴)が加わった計13人の解説、証言によって言葉の真実が紐解かれる。例によって寂聴は不要。どうしてこうも軽佻浮薄になってしまうのだろう。それはさて置き、一言で言って「面白い」映画に仕上がっていた。難解で理解できない所もあるが、時折笑いが起こるほど、ユーモアに裏打ちされた温かい映画でもある。懐かしさか…
今の時代には有り得ない熱さもある。あの時代、ノンポリであっても政治的な意識は高かった。時代の空気がそうさせたのだ。
内田樹はあの時代を「政治の季節」と呼ぶ。そして、こう述べる。
<政治的な季節の若者たちは時々ずいぶんひどい勘違いをしたけれど「自分には果たすべき使命がある」と思い込んでいたせいで、総じて自分の存在理由については楽観的であった。その点では非政治的な時代の若者たちよりもずいぶん幸福だったのではないかと思う。>
そうに違いない。
2020年2月21日
2020年2月11日
239 霧のハノイ
ベトナムは今は梅雨時。小雨か霧か世界一汚れているというスモッグの空。六日間滞在して一度も青空は見なかった。
でも暗い感じはしない。実にエネルギーに溢れているのだ。若者が多く、街は喧騒と猥雑さに満ちて、とても魅力的だ。クラクションの音が響きわたり、聞きしに勝るバイクの群れ!まるで曲乗りのバイク隊が車すれすれを縦横無尽に追い越し、横切る。見ほれるばかりだ。後ろに乗る者も運転手にしがみついたりしない。ポケットに手をつっこんだまま軽々と乗り慣れたものだ。真ん中に子どもを乗せたりしている家族もいる。山のように荷物を積んだ人もいる。毎日飽きずに見とれていた。
一方、郊外に行くと田圃が広がり、農耕牛がいて昔の耕運機があり、手植えで田植えをしている。日本の50年前の田園風景だろうか。
新旧混在。発展途上の魅力とはこういったところにあるのだろうなあと思う。
そして、とうとう本物のコピ・ルアックを飲んだ。150000ドン。やっぱり高い?いえいえ、日本円だと750円。勿論、ベトナムでは高い。確かに美味しかったが、日本で1万円は出せないな。
料理は何でも美味しかった。フォーなんて毎朝食べに行ったものだ。ベトナム人は外食好きで朝からフォーを食べに出かけるそうだ。
どの国に行っても何か舞台を観に行くが、今回は伝統芸能を観たかったので、水上人形劇に行った。内容は豊作豊漁を寿ぎ国の発展を願うという、伝統物として万国共通のテーマの物であった。浄瑠璃ならぬ京劇風な語りや古めいた楽器がオリエンタル情緒を醸し出していた。
次は青空が見える季節に、もう一度訪ねてみたいものだと思う。
でも暗い感じはしない。実にエネルギーに溢れているのだ。若者が多く、街は喧騒と猥雑さに満ちて、とても魅力的だ。クラクションの音が響きわたり、聞きしに勝るバイクの群れ!まるで曲乗りのバイク隊が車すれすれを縦横無尽に追い越し、横切る。見ほれるばかりだ。後ろに乗る者も運転手にしがみついたりしない。ポケットに手をつっこんだまま軽々と乗り慣れたものだ。真ん中に子どもを乗せたりしている家族もいる。山のように荷物を積んだ人もいる。毎日飽きずに見とれていた。
一方、郊外に行くと田圃が広がり、農耕牛がいて昔の耕運機があり、手植えで田植えをしている。日本の50年前の田園風景だろうか。
新旧混在。発展途上の魅力とはこういったところにあるのだろうなあと思う。
そして、とうとう本物のコピ・ルアックを飲んだ。150000ドン。やっぱり高い?いえいえ、日本円だと750円。勿論、ベトナムでは高い。確かに美味しかったが、日本で1万円は出せないな。
料理は何でも美味しかった。フォーなんて毎朝食べに行ったものだ。ベトナム人は外食好きで朝からフォーを食べに出かけるそうだ。
どの国に行っても何か舞台を観に行くが、今回は伝統芸能を観たかったので、水上人形劇に行った。内容は豊作豊漁を寿ぎ国の発展を願うという、伝統物として万国共通のテーマの物であった。浄瑠璃ならぬ京劇風な語りや古めいた楽器がオリエンタル情緒を醸し出していた。
次は青空が見える季節に、もう一度訪ねてみたいものだと思う。
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