マリさんはあい子先生のお下がりを着て舞台に登場、見覚えのあるような格好だ。きっと、あい子先生のお気に入りだった洋服に違いない。二人は親子なのに戸籍上では姉妹になっている、というような聞き及んでいたエピソードの他にも家庭の複雑さが垣間見える挿話もあったが、舞台では明らかにはされない。しかし、作家や女優を生み出すような家庭の事情がここにもあったのだなあと納得させられたのだった。中山あい子がまるでそこにいるようで、とても懐かしい気持ちになった。
この日は舞台の後にサプライズがあった。中山あい子と同世代で仲が良かった佐藤愛子がアフタートークに登壇して、思い出を語ってくれたのだ。2年前くらいにこのブログにも書いたが、佐藤愛子は私の好きな作家の一人である。明るいブルーのスーツ姿でしゃきっとしたお姿。とにかくきれいで素敵だ。怒るのは体力が要るので最近は怒っていないと言うが、やや低音でさばさばした口調、媚びないで生きてきた人そのものの姿がそこにはある。中山あい子と二人で田辺聖子の家を訪ねた時、誰もが知るあのスヌーへの通過儀礼を「フンッ!こんなもの!」と言ったとか言わないとか、中山あい子らしくもあるし、爆笑エピソードであった。
とても元気がもらえた。御年95歳! もっともっと元気で長生きして下さい。
