「勧進帳」は人気演目で、私も色々な役者で何回も観ている。義経役で良かったのはやはり玉三郎、弁慶もやっぱり吉右衛門(今回は富樫を好演)だった。今回の12歳染五郎は言うまでもなく、最年少だ。本家の能では義経は子方がやるので、能を見慣れた人には少年染五郎の義経に違和感がなかったであろう。私もついこの間、能「安宅」を観ており、その時の義経は子方の10歳長山凛三君で、その名の通り凛として初々しい演技であった。凛三君の少年としての美しさはこの数年しかなく、追っかけのように舞台を観に行ったものだったが、いよいよ子方は卒業のようである。だが、持って生まれた華は大人になって更に開花することであろう。次世代に期待できる逸材の一人である。
高麗屋三代の襲名披露は37年ぶりということで、次は30年後くらいかというので、時代のトピックスに立ち会えたのはラッキーだった。口上も当代人気役者が20人近くも裃姿でズラッと並び、トザイトーザイ!
襲名の三人との関係性をしみじみと、あるいは面白おかしく述べ、観客を笑わせる。
歌舞伎は、デフォルメと誇張の世界だ。こうやって時々歌舞伎を観て非日常にたっぷりと浸り、日常をリセットしパワーを充電するのだ。
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見よ、我らが凛三君の勇姿を! |