武道館で行われたスティングのコンサートに行く。6年ぶりだそうだ。その時行った姪と今回も一緒だ。コンサートから一週間経つがまだ感動が鮮やかに残っている。
最新アルバムの“57th &9th”の世界観そのもののロック感に満ちたステージだった。確かな演奏と、研ぎ澄まされたサウンド、派手な演出もなく巧みな構成で硬質なロックっぽいステージであった。ジャズやクラシックなどに傾倒した趣向の時のスティングも素敵だったが、ロックミュージシャンとして素のスティングが清々しい。声も体力もまったく衰えていない。新曲ばかりではなく、代表曲も何曲もやってくれて、舞台も客席もどんどん盛り上がる。見事だ!スティング!
名曲と名演奏でエネルギッシュに駆け抜けたステージだったが、アンコールではアコースティックギターに持ち替えて名曲中の名曲“Fragile”でしっとりと閉めた。座席が東側サイドだったので、全てを終えて舞台袖に静かに退場するスティングの後姿が目に焼き付いている。
そんなかっこいいスティングだが、彼も人の子(人の親と言うべきか)、親バカチャンリンの一面を見せた。息子のJoeを紹介し、“my son!”と3、4回は呼んだかな。前座で何曲も歌わせた。JoeはスティングのDNAを感じさせるところもあり悪くはないが、良くもない。とにかく魅力がない。42才というが、65才の父親スティングよりオジサンぽい。42才といえばスティングが一番かっこよかった年頃だ。Joeは「ニホンジン、ヤサシイ」と言う。当たり前だ!オメエの歌を文句も言わず静かに聞いているのは日本人くらいだ!そんな気持ちで彼の歌を聞いていた私はイライラしてもう少しで爆発しそうだった。隣の席の姪は「おばちゃんがいつ怒り出すかひやひやしてた」と休憩の時に言う。後が良ければいいさ。休憩後の本番の素晴らしいノンストップパフォーマンスで、そんなものは払拭された。むしろ、バックコーラスのJoeは上手いし感じも良かった。
今6月だが、今年一番のステージだ!と言い切る音楽家もいるくらいだから、一生の中でも上位に入るステージになるに違いない。それに立ち会えたのは、それこそ僥倖であるというべきだろう。
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規制しようが無いらしく、今やスマホ撮影は許可されているのだ!姪に撮らせた。 |