下北沢スズナリへ燐光群の芝居を観に行く。燐光群は好きな劇団の一つで初期の頃から観続けているが、このところちょっとご無沙汰をしていて、久しぶりだった。社会派の燐光群らしい内容でとても面白かった。社会派だがエンターティメントの要素も押さえているので、2時間以上を飽きさせない。おなじみの劇団員の演技も増々手堅くなって、息もぴったり合っている。
何よりも作者の坂手洋二の脚本が良いのだが、私達の日常に氾濫しているクイズという物を社会化して文化人類学的に分析したことが興味深い。問うこと、答えることの意味。誤答をした者が次々と消えるラストシーンはとても緊迫感があった。
緊迫感と言えば、大分前になるが、燐光群には飛行機事故を扱った作品があって、フライトレコーダーを戯曲化し世界の様々な事故をオムニバス形式で上演した物だったが、その恐怖感と緊張感から観終わった後はもうへとへとだった。間違いなく観客にメッセージが強く伝わったはずだ。折しもフランスでのあの事故があったばかりである。そんなこともあって、今でも忘れられないあの舞台を思い出した。