2019年4月24日

210  パーキンソン病奮闘記-1 / 30年ぶりの薬

とうとう薬を飲むこととなった。30年ぶりである。厳密には、一切の薬を止めてからの25年ぶりになる。
今までは薬無しでも何の問題も無かったのだが、身体がおかしくなり、この1、2年でやったいくつかの治療のこれといった効果も無く、身体が辛くなるばかりなので、一時的にでも楽になりたかったのだ。主治医も信頼でき、まずは従ってみようという気にさせられたのだった。何といっても、テキは難病、かつてない対戦相手なのだし…
とは言え、長い間薬無しの生活だったので、飲み始めるのに2日程逡巡した。整体師やカウンセラーにも相談してみるが、一旦は飲んでみたら良い、とのアドバイスだった。身体が健康だった頃の状態を細胞が思い出すのは重要だとのこと。そうだ、身体をまっすぐに伸ばし、大股でがしがし歩くあの感覚を思い出すのだ!

恐る恐る飲みだしたが、心配した副作用はあまり無いような気がする。飲み始めてから数日は、頭痛、激しい腹痛、嘔吐、起き上がれなかったりしたが、その嵐が過ぎたら、姿勢が良くなったり、すり足が無くなったり、むしろ良い効果の方が目につくようになった。取りあえず今は、少ないデメリットよりメリットを選ぶしかない。どうせ飲み始めたのだ。九仞の功を一簣に欠いてはならないのだ。と、いつも詰めの甘い自分に発破をかける。
今日の診察の血液検査の結果も良好。副作用の影響も出ていないとのこと。この一番弱い薬を1日1錠、もうしばらく続けるようにとのことだった。
それにしても、一番弱い薬の1日1錠のこの効果だ。クスリはやっぱりコワイなあ、とも思う。




2019年4月14日

209 難病騒ぎの顛末 / 検査の結果

難病だった…
色々と疑われたが、検査の結果は紛れもないパーキンソン病だった。やっぱりか…素人考えでも自分で最初に疑った病気だったのだ。
思えば昨年くらいから、傍目にも異常が分かる私の姿を見た家族や友人、周りの者から「せめて検査を」の声が高まった。親友のSは「あなたの主義で化学的な治療をしないで薬も飲まないのも良いけれど、検査だけはして現状を知っておいた方がいいんじゃないの?」と心から心配して言ってくれた。この頃からさすがに検査に心が動いた。でも、どこの何科に行けばいいんだ?病院は行き慣れていない。
とそこへ、私の尊敬する能楽師M師の奥様S夫人が、見るに見かねてM師の主治医を紹介してくれたのだった。S夫人もなるべく薬には頼らない主義なので、私の気持ちをよく分かってくれている。治療をどうするか自分の考えでやれば良いけれど、まずは自分の身体の現状を知るのは大切で、その為には信頼できる医者をということで、S先生に話をつけてくれたのだ。運が良いことに病院は近所にある東海大学付属病院だ。S先生は神経内科のベテラン、専門医として長年の経験を積んでいる。白衣の胸元から見えるワイシャツもネクタイもいつも素敵でおしゃれな紳士だ。お茶目なところもある魅力的な人で、人の心を大切しており思いやりのある診察をしてくれる。
初期検査から難しい病気が疑われ、結局は最新機器で徹底的な検査をしようということになり、先生が院長を務めあげ、今でも時々現場に出られる立川病院に二日間出かけることとなった。
立川病院は建物も新しく立派な病院だ。
検査は完全予約性のせいか、検査室の近辺には人がおらず、閑散として、不気味な(と、私は思う)機械音が低く響いているだけだ。コワイ…
噂のMRI(経験はなくともそのくらいは知っているのだ)の筒(!)に入る前にうるさいからと耳栓をさせられる。それは想像以上の騒音だったが、電子音だから、今時のノイズミュージックのようでもある。そう思って我慢をしようとノイズに曝される。ギュイイーン、ガガガガガ、ジジジ、ビビーン、何ともウルサイ。その内、トントントントン、カンカンカンとパーカッション音。あっ、噂の輪切りが始まったなと思う(このくらいも知っているのだ)これが後に断面図となって示されるのだな。
MRIの他に、CT、ダットスキャン、アイソトープetc.…放射能系の物にも身をさらす。
日本人は検査のし過ぎで被曝して却って被癌率も高いという話も聞くが、私は10年以上も検査をしていないし、そんな調子でこれを人生最後の検査としたいものだと、放射能入りだという注射を刺されながらも思う。心臓は苦しくないか、頭は痛くないか、気持ち悪くはないかと色々聞かれて、そのくらい危ないのか?と却ってコワくなる。もう後戻りは出来ないけれど…医療事故防止とは言え検査の前のチェック項目も多く、驚く。
薬はもう30年来飲んでいないが、この際、まっさらな状態で身体の現状を知りたくもあり、検査の前の半月程は一切のサプリメントも止めて検査に臨んだのだったが、結果は難病という嬉しくないものだった。だが、不幸中の幸いというべきか、血液検査のデータだけ見ると見事な健康体なのである。2件程数値が少し高いだけで、後はしっかり基準値内におさまっている。ある意味、これまでの健康志向は間違っていなかったとも言えるのだ。他の病気は一切心配ないと医師も言う。難病持ちの健康体という変な身体だなあと思う。
脳内の黒質からのドーパミンの放出が少なくなり、たった2㎝程の線条体の異常で身体全体の動きに影響が出るという、脳の働きと身体の不思議。
難病とは、原因が分からず治療方法が見つかっていない物を言うそうである。一生の付き合いになり、治すのではなく進行を止め現状を維持するのがせめてもの治療だという。
そうかなあ、と天邪鬼な私は思う。今まで信じてやってきた事、自然治癒力や免疫力を高める方法が血液検査の良好な結果に出たのだとするのであれば、難病にだって効果があるような気がするのだ。とはいえ、そうやって身体に気をつけていたのに厄介な病気にかかってしまったのも事実。まずは一番弱い物で1日1錠ということなので、取りあえずは薬を飲み始めたが、自然療法もしっかりとやっていこうと思っている闘志満々の私である。











2019年4月4日

208 句会で初特選

ひなせ会吟行には参加出来ずに句会から途中参加した。仲間達は新宿御苑の桜を満喫したようだが、私は遅れて神楽坂まで街中の一人吟行である。
頭をよぎるのは病気のことばかり。いくつか詠んだ句の一つが特選をもらえた。
 
病ひ得て 春の息吹に 身をまかす

どんなに嘆いたところで現状を変えることは出来ない。このちっぽけな身体も自然の一部。せめて春の生命のエネルギーに身をゆだねてみようと思う。