8月の整理アイテムは、辞書と英語関係の本だ。
本は油断しているとどんどん溜まってしまう。処分し難い物の一つでもある。三年前に駒場を出る時に、まず収納場所を無くそうと思い、大きな本棚を二台処分して、本はダンボール6箱にまで減らした。だが、三年経った今春の引越しの際には新たにまた6箱増えていて、がっくりした。増える理由は、多忙で図書館に行く時間が無いことと仕事の資料が多いことだ。
現役引退後は図書館に通うつもりだ。仕事の為の資料も不要になるし、好きな物だけ読もう。結局、現役中は増えるのも仕方ないだろうが、せめて細目に整理しようと思う。
本の中でも捨て難いのは辞書だと言う人が多い。辞書だけは絶対捨てられない、と言った友人もいる。誰でも、自分の本の中で一番手に取る機会が多いのは辞書だろう。自分の知の元でもあり、自分の手癖が付いていて、愛着はひとしおである。あの独特の紙(インディアン紙というらしい)の手触りも捨て難い。それを今回は処分しようという訳である。
辞書が無い生活など考えられないので、代わりに電子辞書を購入した。これには持っていた辞書は全部入っているし、英会話や歳時記、小説まで入っている。大きさはほとんど文庫本一冊だ。処分する辞書類を並べてみると、結構な場所を取り重いので、この差は大きく、片付け満足度は大である。ただ、事務所では相変わらず広辞苑をめくっている自分がおり、自分ながら苦笑している。
今回は同時に英語関係の本も処分しようと思う。英語の本もやっかいだ。わずか10日間で~、5行で分かる~、たった100単語で~、これならすぐ喋れる、今度こそペーラペラ!というようなうたい文句につられて、つい買ってしまう。ただ聞くだけというやつにもまんまとやられている。しかも二度もだ。まだカセットテープの時代に一度試して失敗したのに、それを忘れてまたやってしまった。楽ちんの誘惑に負けてしまう私がここにもいる。もとより通訳や翻訳をしようという訳では無く、好きな曲の歌詞や映画の台詞がもうちょっと理解出来たらいいなあというような程度のことなのだが、楽には身につかないものだ。
好きな映画の台本を読んだりもしたが、勉強とは繰り返さなければならないものなので、どんなに好きな映画でも一本を何度も観るよりなるべく沢山の映画を観たい私にはこの勉強法は向かなかった。小説もしかりである。サリンジャーもオースターも頓挫した。生活に密着した物だったら身に付き易いだろうと思い、起きてから寝るまでの英語のテープを睡眠学習よろしく寝る時に流したりもしたが、大概起きてから電車に乗るくらいまでで意識が無くなり、会社までたどり着くのは稀だった。旅行の英会話というのも聞き流しながら眠りについたが、飛行機内で飲み物を頼んだりするくらいまでが関の山で入国審査まで行くのは稀、無事に入国して食事をしたり買物をするところまでは行かず、まるで英語が子守唄のようでよく眠るばかりだった。
これから、楽をせずに頑張って英語の勉強をしたところで大したことは無いだろう。その分の時間を有効に使った方が良いのは明らかである。例えば、面白い映画を観るとか。
買ったばかりのピカピカの電子辞書には英会話の教材も何本か入っており、この何十冊の英語本を処分したところで困ることは無いのだ。
買ったばかりのピカピカの電子辞書には英会話の教材も何本か入っており、この何十冊の英語本を処分したところで困ることは無いのだ。