今回の個展で再び「旅」の字に出会った。これは飛んでいる鳥のように見える。勿論、きちんと筆順で書いた字であり、やはり象形文字として漢字は面白い。
鳥になって自由に大空を飛べたら、と思うことは誰にでもあるに違いない。遥かなる旅への希求がそこにはあるのだろう。
萠さんは「旅行が好きなのに最近出かけていない」と話す。その思いが「旅」という字が最近の創作のモチーフの一つになっていることに繋がっているのかもしれないとも。
そうかもしれないが、萠さんは創作と思索を通して、内なる広い世界へ存分に旅をしているように私には見える。出かけなくとも、豊かで自由な旅をしているのだと思う。
個展の初日に来た方がこの書を気に入って、購入するかどうかを随分迷われたようだが、結局はこうやって私にご縁があった。待っていてくれたのだろう。
早速、玄関に掛けてみたが、出かける時に見るのに相応しい書だ。

