2019年9月23日

225 パーキンソン病奮闘記 -7 / 猫にマタタビ

今まで何人かの人に何ヶ所かの病院、診療所を紹介されて一通り回ってみたが、後一ヶ所だけ気になる所があった。読み漁った本の中で見つけた医師のクリニックだ。それが何と故郷の佐久にあることが判明。帰省の折に寄ってみようと思っていた。その内、そこに妹が月一回通っていることも分かり、より詳しい情報が入り、益々気持ちが高まっていたところだった。遠方からも訪ねる人も多く予約も取り難そうだったが、ラッキーにもお彼岸の帰省に合わせて予約が取れた。
妹に付き添ってもらって診察室に入ると、そこには写真で見た通りのぽっちゃりした優しそうな先生がニコニコしながら「良い気候になりましたねえ。こちらは寒いくらいですかね?」とおっしゃる。「いつもあんな感じで季節や世間話から始めるんで、最初はびっくりしたんだよ」と、後で妹が言う。時候の挨拶なんて当たり前なのに、それが驚ろかれるくらい世の中の医者は事務的な人が多いということだ。パソコンばかり見て患者の顔をろくすっぽ見ないという話もよく聞くことである。この水嶋先生は関西出身ながら、佐久総合病院にお勤めされたのがきっかけで、佐久が気に入って開業したのだそうだ。
話を伺うと本で読んだ通りの医療方針だった。西洋医学をベースに東洋医学の良い所を導入してその人に合った治療を見つけていくというもので、自然療法一辺倒でもない。私の症状には、鍼灸と漢方薬が良いのではないかと、早速鍼灸を施され漢方薬が処方された。初めての鍼にはドキドキしたが、痛いことは無かった。
漢方薬には「マタタビ」が調合された。あの「猫にマタタビ」である。マタタビにはドーパミンを出す働きがあるそうだ。どうりで猫もポワ~ンとする訳だ。私はネコ科の寅年、効きやすいかも(笑)マタタビは保険がきかないとのことで少し高価。「猫に小判」にならないようにしっかり飲もう。朝晩に一杯ずつ、抹茶碗に淹れてうやうやしく飲んでいるが、ルイボスティーのようでもあり、味はそう悪くない。
今春、大々的な検査をした時にもう検査は二度とご免と思ったが、今回、鍼治療をする為の根拠としてレントゲンを撮らなくてはいけなくなった。結果「きれいな骨ですね」と褒められるような状態だった。春の検査の結果も全体的には完璧に近かった。このドーパミン不足の問題さえ解決すれば、むしろ健康過ぎるくらいなのに、人間の身体の繊細さを文字通り身をもって知るばかりである。
「薬を飲みたくないのです」という私に「いつかきっと手放せますよ。せっかく体調が整ってきたんだから、もう少し整ってから手放しましょう」と、水嶋先生。私は、この言葉が欲しかったのだ。

マタタビ入り妙薬?



2019年9月12日

224 ◯

マル!
終わった、とにかく終わった!
この数年に渡る胸の痞えがおりた。重荷がおりた。
私の手に余る団体との引継ぎが終わり、やっと性悪男(笑)と別れられたのだ。
このけじめに一杯のビールで自分に乾杯!

2019年9月2日

223 土浦狂言公演

年に一度、秋に土浦を訪れるようになって丁度10年になる。城址公園での薪能の為だが、ここは松が良い具合に生えていて天然の鏡板といった風情で、ロケーションが良い。薪能には雨天時の代替会場の用意が必要で、いつも市民会館が押さえられているが、悪天候で使用したのはこの10年で一回という幸運ぶりだった。今年はその市民会館が改修工事の為に使用出来ず薪能は中止になった。
その代わりに「土浦狂言会」が企画され、野村万蔵師を始めとした万蔵家の若手による公演と観客体験の催しとなったが、チケットも売り切れ、満席。万蔵師と子息の万之丞師は昨年のNHK大河ドラマに出演されていたということもあって、能楽ファンばかりではない観客も増えたようである。こうしたことがきっかけで能楽に興味を持つ人が増え、生の舞台に足を運んでくれる人が多くなるのは良いことだ。
公演も無事終了。土浦は東京から一時間ちょっと(特急だと40分)で通勤圏内ではあるが、旅気分になれる距離でもある。毎年一泊していたが今年は日帰りだ。私の体調を心配して付いてきてくれたスタッフのKと、ビールで一日の労働にけじめをつける。