年に一度、秋に土浦を訪れるようになって丁度10年になる。城址公園での薪能の為だが、ここは松が良い具合に生えていて天然の鏡板といった風情で、ロケーションが良い。薪能には雨天時の代替会場の用意が必要で、いつも市民会館が押さえられているが、悪天候で使用したのはこの10年で一回という幸運ぶりだった。今年はその市民会館が改修工事の為に使用出来ず薪能は中止になった。
その代わりに「土浦狂言会」が企画され、野村万蔵師を始めとした万蔵家の若手による公演と観客体験の催しとなったが、チケットも売り切れ、満席。万蔵師と子息の万之丞師は昨年のNHK大河ドラマに出演されていたということもあって、能楽ファンばかりではない観客も増えたようである。こうしたことがきっかけで能楽に興味を持つ人が増え、生の舞台に足を運んでくれる人が多くなるのは良いことだ。
公演も無事終了。土浦は東京から一時間ちょっと(特急だと40分)で通勤圏内ではあるが、旅気分になれる距離でもある。毎年一泊していたが今年は日帰りだ。私の体調を心配して付いてきてくれたスタッフのKと、ビールで一日の労働にけじめをつける。