被曝した3人の少年を通して戦争、原爆の悲惨さが語られるのだが、そこは井上作品なので、随所にユーモアが織り込まれる。家族、友達との別れ、友の病状に耐えられなくなった一人の少年が「頭が痛くてどうにかなってしまう!」と相談役の老人に訴えかける。老人は「哲学じい」と呼ばれて「人間とはどうあるべきか」を、常に本質的に問うて生きている人だ。彼が少年に向かって叫んだ言葉が「狂うてはいけん!」であった。
大きな声がまかり通る世の中、一夜にして変わってしまった価値観、目をつぶりたくなる惨状…
だが、そんな理不尽なもののために決して狂ってはいけないのだ、という井上の強いメッセージが伝わってくる。
先日の6日の広島、9日の長崎の慰霊祭のニュースも、リオ五輪の熱狂に隠れてしまっていた。その上、今日は朝から国民的アイドルと言われるグループの解散騒ぎで、そのリオ五輪さえも霞んでいた。
この国は一体どうなってしまったんだ…という思いを抱えながら観に出かけた芝居だが、「狂うてはいけん」は、まさに今の日本にも当てはまるのではないだろうか。
明日は、終戦記念日だ。
