2017年9月5日

151 モノはいらない!

「お母さんからのベトナムのお土産」と、コーヒーと木の器を差し出す姪に、「モノは要らないんだよね…」と、コーヒーだけ受け取り、我ながら身も蓋もないことを言う私。
「やっぱりね。おばちゃんがそうい言うと思ってお母さんにも言ったんだけどね…」と、渋い顔の姪。ここは大人になって知らんぷりでもして、もらっておいてくれよとでも言いたそうだ。私だって親しくなければこんなことは言わない。
どのくらい前から「モノは要らない」と周りに言い続けているだろうか。私の性格や生活信条を知っている姪達は本当に良く分かっていて「おばちゃんは消え物が良いんだよね」と、美味しいお菓子や趣味のいい花をプレゼントしてくれる。私をよく知っている親しい友人も然りである。食べてしまえば物は残らないが、美味しかった記憶はいつまでも忘れられない思い出を残してくれたりするものだ。旅行のお土産も何も要らない。文字通り「土産話」が聞ければ、それが一番楽しい。それか、その土地のちょっとしたチョコレートでももらえれば充分嬉しい。だが、何十年つき合っても分かってくれない人もいる。「何も要らないからね~」という私の言葉を遠慮だと思っているのだろうか。何かと買ってきてくれるが、人にもらったモノは捨てにくく、残るモノは正直言って本当に困るのだ。
今は片づけという目標があるから尚更だが、以前から物をもらうのは苦手だった。なかなか自分の好みに合う物はないもので、「ヘタなモノは要らない」という、物に拘るあまりの我儘な結果でもあるのだ。自分の好みの物だけに囲まれて生活する幸せは何ものにも代えがたい。片付けが進行中の今は本当に大切な物が明確になってきた喜びが大きいが、好きな物ばかりに囲まれた中で最後の絞り込みに入る時にはやっぱり悩むだろうなあと正直思う。そういう意味でも新しい物はもう増やしたくないのだ。
最近もらって困ったモノの最たるものは、ある人の亡くなった母親の形見のアクセサリーだ。私が会ったこともない人のモノだが「あなたの好みに合うと思うし、捨てられないから、もらってくれると嬉しい」とのことだった。う~ん…。まあ、ここでは多くを語るのは止めよう。
逆に最近もらって嬉しかったのは、アコーディオニストの後藤ミホコさんのフィンランド土産の紅茶だ。今年の暑い夏にアイスティーとして重宝し、ほのかなレモンフレーバーが事務所の皆を癒してくれた。こういった配慮がヘタなモノより心に残るのだ。
もう少し涼しくなってきたら、妹のくれたベトナムコーヒーも楽しもう。コンデンスミルクでも用意して、あま~いベトナムコーヒーも久しぶりに良いかも。



2017年8月25日

150 〇

だけど、ジタバタ。
オノマトペ辞書によると、
じたばた
忙しすぎて落ち着かない様子。
悪い事態に無駄な抵抗をする様子。
[類]ばたばた、どたばた
[例文]今ごろじたばた(と)したってもう遅い。

明後日は、いよいよ能楽座自主公演の本番だ!

2017年8月16日

2017年8月5日

148 さらば青春

ジャンヌ・モローが亡くなったことを嘆いている私に、サム・シェパードも亡くなってしまったことを知らせてくれた友人のSが「さらば青春、という感じよね」と言う。彼女はかつて映像の勉強をしていたので、時代的にもヌーベルバーグの影響を少なからず受けており、若い頃彼女と、マル、トリフォー、ブニュエル等、熱く語ったのを思い出す。『死刑台のエレベーター』はマイルスディビスのトランペットも素晴らしく、『マドモアゼル』『小間使いの日記』等々、ジャンヌ・モローには斬新で衝撃的な作品が多かった。『突然炎のごとく』は忘れられない作品だ。かつての女優は正統派の美人でなければならなかったが、彼女はそういう枠組みから離れて個性を発揮した女優のはしりのような人だろう。顔が整っていなくともとても魅力があった。口がへの字に曲がっているのも却って色っぽくアンニュイだった。その口元の表情に自分を持っている人の意志の強さも出ていた。
歳を取ってからの作品『海を渡るジャンヌ』も好きな作品だ。ハリウッド女優のように顔を引っ張り上げたりしなかった彼女は「皺の2、3本が増えたからってそれが何?老いることで問題にすべきは心。心のあり様が表情に出るのだから」「生きることと自由が大好き」と日頃言っていた通り、『海を渡るジャンヌ』では皺も体形も隠さず、若い男を翻弄する堂々たる女詐欺師を演じていた。70歳近かっただろうか。かっこよかった!
サム・シェパードも実にかっこいい男だった。彼も正統派の美男子というタイプではないが、知的で野性的、孤独の影と包容力、相反する要素が共存し何とも魅力的だった。『女優フランシス』では、主人公を理解しどこまでも見守る懐の深い男を演じていて、「こんな恋人がいたらなあ!」と思ったものだった。それにしても感動的で胸が痛む作品だった。
彼には劇作家、脚本家としても幾つもの作品があるが、『パリテキサス』はヴィム・ベンダースを世に知らしめた作品でもあり、荒涼として孤独感漂うこのロードムービーは、忘れがたい作品だ。『天国の日々』『ライトスタッフ』の彼も素敵だった。時々、エンターティメント系の軽い(?)映画にも出ていたが、そんな中でも彼らしく存在感を示していた。
大好きな二人が亡くなってしまいとても悲しいが、映画という永続性のある素晴らしい文化のお蔭で、二人にはこれからもスクリーンの中で会えるのだ。
二人に感謝。心から冥福を祈ります。










2017年7月25日

147 さようなら日野原重明先生

日野原重明先生が105歳で他界された。先生が87歳の時に出会ったので約20年経った訳だが、ほとんどお姿が変わってないような気がする。先生は20年前の当時から知る人ぞ知る著名人ではあったが、その後、いわゆる「ブレイク」されたのには驚かされた。
私の所属する団体の前会長の母が自宅ターミナルの療養に入った時に、日野原先生が主治医として訪問治療にあたって下さったのだが、自ら家々を回って歩かれていたので「こんなに偉い方が…」と驚嘆したものだった。最期も自宅で看取って下さった。悲しみに沈む私たちに「舞台に関わるあなた達にとって、シェックスピアに馴染みがあると思うけど『終わり良ければ全て良し』ってあるでしょ」「そのように大変立派で良い最期でしたよ」と、慰めて下さったのが今でも鮮明に思い出される。
それがきっかけで娘である前会長とも親交が続き、会が主催する「子どものための日本文化教室」にも賛同され、年に一度、特別講師として子ども達に「いのちの授業」を授けて下さっていたのだ。
その後、その前会長が病に倒れ、やはり日野原先生に看取って頂いたのだが、沢山の患者を看たであろう先生にとっても、母娘して最期を見とどけたのは稀有であったに違いない。
最後にお会いしたのは5年前の春だったが、階段を登る先生に手を差しのべた私に「いや、結構」とおっしゃって、手摺りにこそ掴まっていたがトントンと軽い足取りだった。驚異的な100歳だった。
「110歳になった時に会いましょう!」がその時の約束だった。日野原先生だったらあり得ると思っていたが、望みは叶わなかった。先生はハイデッガーの「死は生のクライマックス」という言葉も時折引用されていた。人生を全うし、生き切った人、日野原先生そのものに重なる言葉だ。
日野原先生、ありがとうございました。



2017年7月15日

146 暑い夏! そしてサムイ夏!

仕事仲間達が今、ロシアとフィンランドに行っており、早速SNSに涼しげな映像があげられている。ロシア組の一人ギタリスト小沢あき君によるとやはり夜は涼しいと。フィンランド組のアコーディオニストの後藤ミホコさんによれば午前中は寒いくらいで上着をはおったとのこと。この猛暑の東京からするとその寒さが恋しい。
それにしても何という暑さだろう。33度34度があたり前のように続いている。今更ながらだが、もう日本の気候は完全に変わってしまった。夏が長くなりもう何年も春と秋が無い。「四季が育む日本人の感性」なんてものは養われようもないから、老若男女問わず皆繊細さが失われイライラとして世知辛くなってしまった。大きな災害も増えた。熱帯、亜熱帯に生息する毒虫も蠢き出した。気候の乱れは日本に限らず世界規模で起きており、これは地球温暖化の影響に他ならない。
対策が急がれるこの時期に、トランプ政権はパリ協定を離脱して、アメリカの良識人からも批判を浴びている。かと言って、日本も含めて他の国が目を見張る程の対策を立てているふうでも無い。災害が起きた時に泥縄式対処はするが、災害そのものが起きないようにする為の本質的問題には向き合っていないように見える。
そんな状況の中で更に失望感を味わうのは、この季節に電車に乗った時だ。異常に寒い!冷房のきかせ過ぎなのは明らかだ。先日も地下鉄に乗った時にあまりの寒さにショールをかけたが、隣の女性もカーディガンをはおっている。快適な温度なのであればまだしも、とにかく寒いのだ。この無駄遣いにいつも失望感と喪失感を覚える。そこへ追い打ちをかけるようなアナウンスが入る。「車内が涼しく感じる方は弱冷房車へお移り下さい」だと!「涼しく」感じるではなく「寒く」だろ!それに、なんという本末転倒だろう。乗客サービスのつもりかもしれないが、こう寒くてはちっともサービスになっていないではないか。電車といえば毎日何百万人と利用する機関だ。その大規模な機関が、過剰な冷房を止めて快適な温度にするだけでもどのくらいの節電になることだろう。
ああ、またサムイ季節がやって来たなあという所以である。
今日のロシア・ウランウデ





2017年7月5日

145 第23回能楽座自主公演

能楽座自主公演のDM、1200通余りを発送する。
いつも2日はかかるが、優秀なスタッフの頑張りで、1日で出せた!
能楽座の座員には重鎮も多く、近頃は亡くなる方もあり追悼公演が続いたが、今年は久しぶりに追悼ではない公演だ。沢山のお客様が来て下さいますように!